ずっとさようなら

2041.3.1

今年の結婚記念日は1人で過ごすはずだった。でも、未来から彼がやって来た。私が去年会いに行って会えなかった‘10年後’の彼が。
彼は私を抱きしめて少し泣いた。そして三回目の結婚記念日を祝う言葉を述べた。それからたくさんのことを話してくれた。本当は今日は一緒にいたかったこと、9年後がとても幸福なこと、犬を飼い始めたこと、新しく始めようか考えている趣味のこと。私との結婚指輪をまだしていること、9年たった今でも私を愛していることも。
あんまりに一生懸命に、息継ぎも忘れて話す少し年取った彼がとても愛しく感じた。その様子が嘘をついているようにみえなかった。
私は、あの日日記を読んだことを告げた。私とは離婚したのかと尋ねもした。
2050.3.1の日記か確認した後で彼はこう言った。

『一緒に生きていきたくても、離れなければならないときもある。悲しいけど。』

その時わかった。
彼があの時会いに行ったのは、今の私だったのだ。私は近いうちに死ぬのかもしれないとぼんやりと思った。
彼の切ない顔が頭から離れない。