何事も無かったかのように月日は過ぎて行き、季節は秋になっていた。 あの日のことはお互い訊かない。 ただ私の路上ライブにはいつもルキは来てくれていて、 私は「探してる人は見つかった?」と心の余裕があるときは気に掛けているフリをしていた。 「見つかっていない。」 決まってルキの答えはこうだった。 見つかった暁には、ルキは離れて行っちゃうのかな... だったら、見つからなくて良い。 そんな自分勝手な私が嫌だった。