「なつこ、そろそろ良いかな?」


「あ、うん!」


貴子から離れると手を差し出してきた裕也の手をソッと握った。


そして一番前にいた両親が泣いてるのを横目で見たなつこはクスリと笑い、階段をゆっくりと上がった。


そして、神父さんの前。


その瞬間、今までザワザワしていた教会が一気に静かになった。


そして…。


「私達は今、裕也さんとなつこさんの結婚式を挙げようとしています」


一呼吸置いた後…。


「それでは、契約をしていただきます。皆様ご起立ください」


この言葉に座っていた皆が立ち上がった。


「裕也さんとなつこさんは今、結婚しようとしています。この結婚に正当な理由で意義のある方は今、申し出てください。意義がなければ今後なにも言ってはなりません」


意義があっては困るけど、全員が静かだった。