「忘れられなかったのは、あたしだけだったみたいだね」 クスクス笑う沙英子は今にも泣きそうで、それを隠す為に笑っているんだと気付いた。 「もう、ここには来ないから…。頑張って裕也のこと忘れるから。幸せに、なって…ね」 パタパタと走って行く沙英子。 なつこの横を通り過ぎる時、見てしまったんだ。 彼女は泣いていた…。 沙英子はまだ裕也がフリーだと思っていたに違いない。 何度も電話しちゃってたくらい未練があったのだから。