「あたしも帰るわよ。また来るね?」


なつこも立ち上がろうとした時


「もう少しいてよ」


と、手首を捕まれた。


「え、でも…」


なつこが何かを言いかけた時。


「もうこの時間にお客さんは来ないから。もう閉めるから。だから一緒に帰ろ?」


そんな子犬みたいな目で見つめられたら、嫌なんて言えない。


「わ、かった」


なつこは席を立つのをやめた。


「ちょっとちょっとー!!ラブビームが出てるわよー!!」


なんて昭和すぎやしませんか、貴子さん。


なつこは苦笑した。