今まで何人もの女とキスをしてきた そのどれも、何の気持ちも感じない義務的なキスだった そのはずなのに、今のは… チラリと夏木さんを見る 彼女も膝に顔をうずめ、何かを考えているかのようだ こんな風に思うなんて、僕はどうかしてしまったんだろうか それともまさか……… 「……っ!?」 正気に戻って、ようやく自分の置かれている状況に気づいた 辺りはすっかり暗くなって、電気の付いてない部屋の暗がりの中に僕達はいた