僕は答える代わりに顎に手を置いた
あるわけないだろ
さっき決めたんだから、何もかも家だ
携帯だって捨てたから連絡だってとれないし、家に帰るのも面倒だ
「……あ。」
車があったな、車に何かあるかもしれない
「ちょっと車に行ってくる。というか、ここに車を停めても平気か」
もう歩いて来たくない
「……あー、はい。裏に駐車場があります」
「じゃあ、話はそれからだ。僕は車を取りに行く」
「はい、わかりました」
夏木さんの言葉に頷き、車のキーを掴んでコテージから出る
こんなコテージに泊まるのは性に合わないが、キャンプに来てるのだと思えば悪くない
なによりあの女……
夏木莉桜といったな
「…退屈しのぎになりそうだ」
鼻歌を歌いながら、森の中を歩いて行った

