「…そっか。」



それだけ言っても親父の氷みたいな心は溶かせない


……最後まで説得できなかったか




「最後くらい、父さんに納得してほしかったよ」


「………皐雅」


「こんな息子でごめん」



それだけ言い残し、荷物を持った僕は屋敷を出た


もっと言いたいことはあったはずなのに、申し訳なくて言えなかった


29にもなって意気地がないのは、きっと親父似だ


結局、親父も兄貴も僕を追ってはこなかった



「……よし、行くか」


決心をした僕は、ある目的地に向かってただ車を走らせた