「……兄貴にはいつも感謝してる。でも、これだけは譲れない」


「………皐雅」


「父さん」



僕は放心状態の親父を見た



「株は好きにしていいから。僕を社長から解任してもいい。全てを手放す覚悟はできてる」



それで本当に無謀なのはどっちか、直接戦おうじゃないか



「……皐雅」


「なに?」


「必ず後悔するぞ」



いつになく冷たい瞳が揺れている



悲しいくらい、僕はこんな親父に似てしまった



兄貴はきっと、心優しかった母さんに似たんだ