「皐雅、目を覚ませ。自分を見失うな」 「見失ってなんかない。正常だよ」 「皐雅………」 何かを言いかけて、兄貴は口を閉ざした なんだ……? 顔を上げた僕は、全てを悟った 兄貴が黙る理由も、今ここに莉桜がいないわけも全部――… 「父さんがやったの?」 「皐雅、目覚めたのか」 親父は僕に歩み寄るなり、柄にもなく抱きしめた 「……父さん?」 いきなりなんなんだ?