「いいか、知らないやつに何か言われてもついて行くな」
あたしにだけ聞こえるように囁いた
……あぁそっか、行かなきゃいけないんだ
「……う、うん」
「あ、知り合いでもダメだ。とにかく僕が戻ってくるまでここにいろ、いいな」
「……わかった」
あたしの返事に満足そうな顔をして、皐雅さんはその場を離れて会長の元に向かった
何やら会長と話したあと、他の人達の所に笑顔で向かっていった
挨拶まわりかな
大変なんだね社長さんは
そんな皐雅さんの姿を見ているのはあたしだけじゃないことに気づき、目線を背けた
そりゃああんなにかっこよくて、オマケに社長なんだもん
人気があるのも当然か
近くにいればいるほど、どんどん差が広がっていくんだ

