「社長」
「………」
「…社長?」
「なんだ」
「契約書にサインを?」
「え?」
そこでようやく自分がペンを持ったままボーッとしていたことに気づいた
「あぁ、そうだな」
「はい。最近なにやら嬉しそうですが、何かあったんですか?」
蛯名秘書が嬉しそうに僕を見る
「ん?僕は今幸せだ」
「見てればわかります」
「だろうな」
最近の僕は、社内でも評判なくらい愛想がよくなったらしい
普段から外見には気を使っていたつもりだから、少なからず嬉しいが
日常茶飯事にこにこするのも当たり前だ
やっと夏木莉桜の心を手に入れたんだから

