「あたしなんかに、話してくれてありがとう」
あたしは何て言えばいいかわからずに呟いた
「いや、いいんだ。どっちみち話すつもりだった。大家はお前だろ?」
「泉さん………」
「じゃあ俺はもう寝る。おやすみ」
「あっ…おやすみなさいっ」
あたしに片手を上げて、泉さんは部屋に戻って行った
夏も終わりかけているのに、まだ夜は暑い
このシェアハウスに、まったくタイプが違うあたし達が住み始めたのは、
あたしの両親が亡くなったとき――10年前から
そのときは岳さんだけで
両親を亡くして生きる希望を失ったあたしを慰めてくれた

