「…そんなんじゃ足りない」


「えっ?きゃあ…っ!」


――まったく、拍子抜けしたな


「ちょっ、離してっ…」


「うるさい、じっとして。僕を慰めてくれるんだろ?だったらさっきのじゃ足りない」


「な、なっ…!?」


抱きしめた夏木さんからは、心地よい鼓動のリズムが伝わってくる


……落ち着く


もしかしたら、発作が起きてもこいつがいたら平気かもしれないな


おとなしくなった夏木さんを見つめた



「………夏木さん」


僕を見てなにか言いたそうに夏木さんが口を開いた、そのとき


―――ガチャンッ


「「帰ったぞー」」


――――えっ



「きゃああああ!!!」