「おい、ちょっと待て」
「長い脚は飾りなの?遅いわよ」
「短い割にはよく動く脚だな。運動量ハンパないんじゃないか?」
………あ
しまったと思ったときには夏木さんは怒って先に歩いて行ってしまった
「……なんて女だ」
どうして僕たちは、口を開けば喧嘩ばかりなんだろうか
暗闇に浮かぶランプを見ながら、息苦しさを紛らわせて脚を進めた
「…早く電気をつけろ」
「はいはい、ほらついたわよ」
コテージに明かりがともり、僕は胸を撫で下ろした
車に乗る前、この前みたく醜態をさらさないように薬を飲んだものの
さっきまではなんとか我慢していたが、そろそろ限界だったのだ

