「…社長?どうかしました?」


蛯名秘書が不思議そうにエレベーターのボタンを押したまま僕を見る


「…今、見覚えのある顔があったような気が…」


「いつも見てますから、当然じゃないですか?」


僕に頭を下げる社員の中に、見覚えがあるというか、印象に残ってるっていうか…


「……そうか。そうなのかな」


「はい。社長は観察力に優れてますから」



にこりと微笑む蛯名秘書に一度目を落として、エレベーターに乗り込んだ