嘘みたいだけど本当の話


このデパートに勤めて3年間、あたしは未だに社長の名前も顔も知らない


ただわかるのは、ここは高級デパートで取り扱っている品物も一流品


それを取りまとめている社長は、凄腕で簡単にお金を動かす冷酷な男だってことくらいしか知らない


それから、ここはあたしにはまったく縁のない場所だってこと


それなのにあたしがここに就職を決めたのは、夢を見ていたかったからなのかもしれない


「ねぇ、莉桜聞いてる?」


「えっ?何の話だっけ」


いけないいけない


すっかりボーッとしてた