と、その時。

「五十嵐くん?」

誰かに名前を呼ばれて顔をあげる。

「花田?」

そこには、転校生の花田春奈がたっていた。

白のフワリとした生地のワンピースに紺色のカーディガンを羽織っている。
女の子らしいな‥

「どうしたの?こんなとこで。」
きいてみる。

「ちょっとお買い物。」
そう言ってにこりと笑って手に下げているトートバックを持ち上げてみせる花田。

「五十嵐くんは?」


「あ‥うん、ちょっと。」

またさっきの出来事をおもいだしてしまう。

「五十嵐‥くん?」
花田が心配そうにおれの顔をのぞきこむ。


「あ、ごめん。なんでもない。買い物ご苦労様。じゃあな。」

「待って。」
行こうとした俺の手をつかむ彼女。