今から二年前、新しい子がこの施設にやってきた。 それは小さな女の子で、名前は大谷琴音(おおたに ことね)。 この子は母親に置いて行かれたんだと、平田さんにこっそり聞いた。 コトは最初、ここに来た頃の俺と同じように無口で何の感情も特に示したりしなかった。 でもやっぱり平田さんがコトを変えていった。 そして平田さんのおかげで、少しずつコトも周りに馴染んできたころ。 それは突然だった。 「ママ!!」 夜中に突然、泣きながら叫び始めたコト。