「元気ならいいんですけど、食べるものちゃんと摂ってないんじゃないですか?お昼も何だか小さなお弁当だけみたいですし」

 一緒に外食しなくなってから、高田さんは私のお弁当に合わせて自分でお弁当を作ってくるようになっていた。
 彼のお弁当は相当本格的で、自分で作ったとは思えないバリエーションのあるものだった。
 私のは本当に恥ずかしくて、ご飯に梅干と、シャケとウィンナーとか前の夜に残った煮物程度を添えるぐらいだった。

「そろそろ食欲の秋ですからね。多分だんだん食べたくなると思いますよ」
「そうですか?ならいいんですけど」

 そう言いながら、彼はまだ心配そうにしている。

「そうだ、今度秋の味覚を先駆けて僕のアパートで小さなパーティやるつもりなんです。知り合いが居ないと顔出しにくいかもしれないですけど、参加してみませんか?」

 思いついたようにパーティに誘われた。

 週末になると、どうしても出かけたい気分にならなくて引きこもりがちな私だった。
 外出するきっかけが欲しいと思っていたから、私は高田さんの誘いを受けて、海外の人が入り混じるというそのパーティに顔を出す事にした。

「皆日本語は結構話せますし、すごくフレンドリーだから大丈夫ですよ」

 私の不安を先読みして、高田さんはフォローしてくれた。

「良かった。私英語はほとんど分からないんで」

 こんな成り行きで、私は彼の本格的だという料理を食べさせてもらいにパーティに参加した。