抹茶モンブラン

「ん、そうして」

 初めて光一さんに甘えた声を出した。

「鈴音の涙が一番僕を動揺させるよ。こんなに僕の心を揺らすなんて、鈴音は小悪魔だな」
「……私が小悪魔?」

 この年齢で、決して派手でもない私が小悪魔?
 かなり意外な言葉を聞いた気がして、私は目を丸くした。

「だって、僕だけじゃなくて高田の心も奪ってるだろ?」
「え、それは!」

 私がビックリして顔を上げると、光一さんはすぐにその言葉に次のものを足した。

「知ってる。鈴音は簡単に心を移したりする女性じゃないって」

 彼の手がもう一度強く私の手を握る。

「どうしても鈴音と過ごす時間を多く取れない。こんな生活だけど、仕事も僕にとっては命と同じぐらい大事なものなんだ……。心を縛れないのは分かってるけど、お願いだから僕の手を離さないで」

 仕事での鋭い瞳を和らげて、私への気持ちを彼なりにすごく真剣に伝えてくれた。