抹茶モンブラン


「僕は先に行くから。せっかく戻ったところだけど、今日から横浜なんだ」

 遮光カーテンが開かれ、眩しい朝日が差し込む部屋。
 そのまばゆいばかりの光の中、彼は私の額に軽くキスをした。

「光一さん」

 行ってしまいそうな彼の背中に呼びかける。

「ん?」
「私……あなたがいないと眠れない弱い人間になりそう」

 そう言うと、彼はクスッと笑って私を見た。

「……僕が鈴音を弱くしちゃってるのかな。それとも、弱い君が本当の状態なのかな」

 優しいトーンでそう言われ、私は何故か涙が出てきてしまった。

 簡単には泣かないようにしていたんだけれど、光一さんの声は私の涙腺を緩ませる力を持っている。

「私はもともと弱いんですよ……だから、これが本当の私」
「そうか。じゃあ、なるべく鈴音が安心して眠れるように時々こうやって添い寝しに立ち寄るよ」

 一度出て行きかけた足を、もう一度私の方に向け、光一さんがそっと私の手を握る。