「光一さん……」

“さっき戻った。顔が見たくてアパート前まで来てしまってるんだけど……。もう眠ってるかな。”

 そのメール内容を見て、私はパジャマのまま外に飛び出した。
 駐車場で、彼は空に高く輝く半月を眺めていた。

「光一さん!」

 小さい声で私は彼を呼んだ。
 すると、彼はふっと私の方に顔を向け、微笑んだ。

「起きてたの?」
「……眠れなくて。明日の朝までどうしようかなって思ってたところですよ」
「じゃあ……今夜も君の隣で眠ろうかな」

 光一さんの声で、私の心がようやく安らぐ。
 特別何かを語らなくても、お互いを求め合ってるんだっていうのはすぐに分かる。
 彼も私に会いたいと思ってくれてたんだ。
 それが分かっただけで、私はつい彼に抱きついてしまいそうになるほど嬉しかった。

「鈴音の声が聞きたかった。携帯だとあまりにも遠いから」

 部屋に入るなり、光一さんの強い力で抱きしめられる。
 やはり彼の香りと温もりが同時に感じられなければ駄目だ……。