社内では「変人堤」とか陰口を叩かれ、あまり周囲の人には好かれていない。
 本当に孤独な人だなあっていう感じだ。
 私の日常も孤独なんだけど、別に誰かに嫌われて生きてる訳じゃないから、ある意味堤さんよりは孤独じゃないのかもしれない。


 ちょっと操作に慣れて、調子が出てきたある日。

 私はとうとう操作ミスをやってしまった。
 何度かフリーズした時に堤さんの指示でリブートしていたから、私は今回もリブートで立ち上がるだろうと思っていた。
 なのに、いくら待っても白い画面から先の画像が出てこない。

 私の心臓がドクドクいって、その場から逃げ出したくなった。

 この日、堤さんは学会か何かで留守だった。
 彼の携帯に状況を伝えるメッセージを残してずっと返事を待っていた。
 終業時間が過ぎても連絡が無くて、私は結局彼が研究室に戻るまでずっとその場に固まっていた。

 他の作業も手につかなくて、もう最悪な状態だった。