「高田さんって、頭の中で言葉を考える時ってやっぱり英語なんですか?」

 私は見た目が完璧日本人なのに、英語がネイティブだという彼の言語能力に興味があった。

「うーん。やっぱり英語かな。あまり意識してないですけど……。日本語は一応一瞬何ていう単語だっけかって考える事が多いから、やっぱり無意識に考え事してる時は英語なんでしょうね」

「そうですか。私は日本語しか分からない人間なので、バイリンガルな人の脳ってどうなってるのかなって常々不思議だったんですよ」

 そう言ったら、高田さんはハハハッと軽やかに笑った。

 何を食べて大きくなったのか分からないけど、彼はラガーマンみたいにいい体格をしていて、一緒に歩いていると何だかお父さんと一緒にいるみたいな感覚になる。
 包容力っていうか……そういう懐の大きい部分が垣間見える人で、一緒にいると単純に安心する。
 異性を感じないで自然に話せるから、私は彼と一緒にランチするのを楽しみにしている。

「僕、ラーメン大好きなんですけど。女性とラーメンって駄目かな」

 いつもはだいたいイタリアンになるんだけど、この日高田さんは有名店に行列が出来ているラーメン屋を見てそう言った。

「いいですよ。私も麺類大好きですから」
「そう?じゃ、少し並ぶみたいだけど、あのお店入ってみましょう」
「はい」

 こんな成り行きで、私達は20分待って600円のラーメンを食べた。