ノンスキルだった私をやっと拾ってもらったのに、その仕事先にはこういうセクハラな最低男がいて、私をどうにかしようとしている。

どうせここで抵抗したり会社に訴えたりしたって私が負けるのは分かっている。
頭が良くて、立場が強い人の方が断然有利な世の中に出来ているんだから。

私は車の中で思わず号泣してしまった。

離婚前も、離婚後も、ずっと泣かずに頑張ってきた。

深く考えず、単純な恋愛感情で結婚した私も悪かったのかもしれないし、まともに職業を見つけられなかったのも自分のせいだ。
一生泣くもんかと我慢して生きてきた。

なのに、堤さんの横で私は、遠慮も無く……まるで幼稚園ぐらいの子供が迷子になったみたいに、オンオンと声をあげて泣いていた。