仕事がどれだけ忙しくても、オフの時間は全く切り替えて趣味の事に没頭する。
 趣味の時間が無ければ彼自身のアイデンティティーが成り立たないのかなと思えるぐらい真剣だ。

 計算高い人なら、きっと高田さんの心を受けるに違いない。
 彼と一緒なら安定した未来が待っている気がする。

 でも私はそういう人生の計算ができない。
 今好きなのは、光一さんなんだから……どうにもならない。

『光一さん、メールのお返事遅くなってごめんなさい。来週には帰国ですね。待ってます』

 短い文面で、私は自分が心細くて不安になってる事をなるべく出さないように彼にメールした。
 返信は来ないと思っていたのに、すぐにメールが戻ってきた。

『返事が無いから心配したよ。来週の水曜には戻るから。もう少し待ってて』

 その返信内容を見て、私は思わず目が潤んでしまった。

 会いたい……会いたい……。

 これからこんな風に会えない事が増えるっていうのに、私は大丈夫なんだろうか。
 なるべく冷静にいようと思っていた。
 夢中になったら、相手にも重くなるし自分も苦しいだけだ。

 分かっているのに、私の心はすっかり光一さんに握られてしまった。

 傷つきたくなくて防御していた壁が、どんどん崩れ去るのが分かる。
 私は心も体も光一さんを求めて止まらなくなっていた。