スポーツドリンクを持つ手が震える。見たくないのに目をそらせない。


…なんだ…。彼女…いたんだ…。

そうだよね、雅紀先輩あんなカッコイイんだから、かわいい彼女がいて当たり前だし…。


そう、自分に言い聞かせた。言い聞かせなきゃ、心が壊れそうだった。


私じゃ…雅紀先輩の彼女になれない…。


キツく唇をかみ締め、グランドを背にして一気に走った。

校門から出ても、学校が見えなくなるまで走り続けた。

涙が出てきて、目から溢れそうになる。


「…雅紀先輩…」


完全に学校が見えなくなった頃、やっと足を止め、小さくつぶやいた。


この声は、想いは…、もう届くわけないのに…。