誰もいない静まり返った渡り教室。
「来夢。」
放課後、拓也は来夢を呼び止めた。
来夢は笑顔で振り向く。
なんて可愛いんだ…。
…でも、
「お前…、雅紀先輩となんかあんの…??」
「へ?? 雅紀先輩?? 何にもあるわけないじゃん。」
「これ。」
来夢にネックレスを差し出す。
「あ!! これ失くしてたんだ!! どうしたの?!」
「もらった…。」
「え?? …なんで??」
「なんでって…、それはお前の方がよく知ってるだろ…??」
「は?? 意味わかんないよ、何??」
「ねぇ、来夢…。マジで俺の事、好き??」
「…なんで?? 拓也、どうしたの?? おかしいよ。」
「……別れよ。」
「…は、待って、何で?? 私なんかした??」
「まだ…、雅紀先輩と関わりあったのか…??」
「だから、それはありえないって!! なんで信じてくれないの?!」
「もう…、知ってんだよ。」
そう言い残し、拓也は教室を去った。
一人、残された来夢。
膝をついて涙を浮かべる。
「なんで…?? なんで信じてくれないの…。私には…拓也しかいないんだよ…??」
誰にも聞こえないような消え入る声で言う。

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