「木下さん、いるかな??」
数日後、いきなりの出来事だった。
雅紀がわざわざ来夢の教室まで尋ねてきた。
「ま…雅紀先輩…?!」
「いきなりゴメン。…ちょっといい??」
来夢は黙って頷いた。
静かな廊下を歩きながら雅紀が言う。
「…瞳と、仲いいんだって??」
その笑顔は、まさしく私が惚れた顔だった。
「そんな…、仲いいって程じゃ…。メールするくらいです。」
「俺も、木下さんに相談のってもらいたい事があるんだぁ。メアド、教えてくんないかな??」
「は…はい。…でも、私なんかが雅紀先輩の相談なんて…」
「お願い!!」
雅紀はニッと歯を出し、顔の前で手を合わせて見せた。
…だから、その笑顔は反則なんです。
「…はい。」
笑顔でそう言うしかなかった。
「じゃあ、失礼しますっ!!」
そう言って走り去る来夢。
キラッ…
「…ん?? 」
何か光る物が落ちる。
雅紀が拾い上げたものは来夢のネックレスだった。

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