私、木下来夢。これで、キノシタ ライムって読むんだ。

親友は佐藤未由。中学は違うけど、高校で一緒のクラスになって、まるで昔から一緒にいるぐらい仲良し。

「来夢っ!! 委員会終わったよ~。」

生徒会を終えた未由が1-3の教室に戻ってきた。

「おっっ疲れー!!!」

窓際の席に座って外を見ていた来夢が笑顔で振り返る。

「やっぱ今日も見てたんだ??」
「…あったり前さぁ。」

未由はね、これはただの恋って思ってるかもしんないけど、違うんだよ。
これまでにないぐらいの、私の大恋愛なの。

一応こんな私でも、中学のときは5人に告られて、男には苦労しないって思ってた。

でも、それは私の自惚れで、こんなに好きな人を振り向かすのは大変だって思わなかった。

…ううん。私の場合、何も出来ない。

振り向かすどころか、話しかけることも出来ないし、キッカケすら作れない。

私、いつからこんな臆病になったんだろう。

「まだ見てく??」

未由が来夢のところに近寄りながら言った。

「あ、いいよ!! 帰ろっ♪♪」

来夢はそう言ってカバンを掴むと立ち上がった。
そしてもう一度、グランドを見てあの人を見つける。


バイバイ、雅紀先輩…。


そう。私が2ヶ月片思いしてる相手は、2コ上の雅紀先輩。

5月のあの時から、ズット好きなんです。