未由と別れ、家に帰った。
来夢は自分の部屋に入ると、本棚の本と本の間に挟んであった1枚の写真を手に取った。
それは4月始めに撮った学級写真。
この頃はまだ、先輩を知らなかった…。胸いっぱいに期待と不安を抱えていた頃。
ベッドにダイブし考える。
私の斜め上に写っている拓也を眺めた。
『俺、入学した時から来夢のこと好きなんだよ…。俺と付き合ってください。』
頭の中に拓也の声が響く。
ドキ…
思いもよらなかった胸の鼓動に飛び起き、急いで鏡を見た。
そこには、頬を少し赤らめた自分がいた。
少しずつだけれど、拓也に惹かれている自分がいたんだ。

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