高校始めての夏休みが始まったというのに、来夢の心は晴れないまま。
そんな来夢を未由が心配して、買い物に誘った。
「未由と買い物なんて久しぶりだねー!!」
「ねっ!! 最近遊んだとしても近場だったし、ちょっと遠出して良かった♪♪」
「うん♪♪」
来夢は久しぶりに時間を忘れて楽しんだ。
―夕方。
「楽しかったぁ!! 未由、ありがとねっ!!」
「また行こうね~!!」
未由と駅で別れた後、来夢は家に帰るために大通りを下っていた。
すると、向かい側からカップルが歩いてくるのが見える。
「…!!!」
その2人は雅紀と瞳だった。
来夢の鼓動がいきなり早くなる。
やっぱり、本当に付き合ってるんだ。
来夢の中にあったわずかな希望がフッと消える。
もう…雅紀先輩サッカー部引退したのかな…。
どうしよう…。会いたく…ない…。
だが、横に曲がる道はない。
数秒迷ったが、来夢は覚悟を決めて歩き出した。
大丈夫。もう、吹っ切れてるはず。
私、そんな未練がましくないからね。
大丈夫、大丈夫…。

![[中] 0o 面影 o0](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.761/img/book/genre1.png)