裏切りの恋

 
「負けた……って思ったの」

「え……?」


最初に発せられた言葉。

あたしには言葉の意味が分からない。


「階段を……自ら落ちていくあなたを見て……
 裕翔のために、自分の命をためらいもなく懸けられるんだ、って思ったら……
 あなたには敵わないって思ったのよ」


憎しみとも、悲しみともとれる彼女の目。

その目には、大粒の涙が溜まっている。


「だからっ……だからもう諦めようと思ったっ……。
 あなたが相手だったら、裕翔のことっ……もう譲ろう…って……」


裕翔……
彼女はきっと、城崎さんのことが好きなんだ……。


「だけど何っ!?
 裕翔のことが分からないっ!?それでまた明くんのところに行く気っ!?
 そんなの絶対に許さない!!」


声を荒げるとともに、零れ落ちる涙。
彼女はキッとあたしを睨んだ。


「命を懸けるくらい好きなら、忘れんじゃないわよっ!!」


そして手に持っていた花束をあたしに投げつけると、そのまま病室を出て行ってしまった。