「なんでもないよ!ちょっと目にゴミが入っちゃって」
「……ならいいですけど…」
あたしは目をこすると、すぐに笑顔を作ってエミちゃんに向けた。
「それじゃあ、また飲みに行きましょうね」
「うん」
途中駅でエミちゃんと別れて
あたしは一人、途方にくれた。
(夕菜……)
久しぶりに呼ばれた、彼からの名前。
こんな一言で、狂おしいほどになってしまうなんて、あたしは末期だ。
会わないようにして
気持ちを消し去ろうとして
それでもすぐによみがえってしまう。
早く忘れたい。
彼への気持ちを……。
「おかえり。エミちゃんとの飲み、楽しかった?」
金曜日の夜は、明の家に行くのが恒例。
あたしの目の前には明。
「明……」
「どうした?」
「………抱いて…」
もう、この方法しか思いつかない。

