裏切りの恋


電話の向こうから聞こえてくるのは、ツーツーという機械音だけ。

あたしはただどうしたらいいのか分からず、呆然と立ち尽くしていた。


「電話終わった?」


しばらくして、あたしが電話を終えたことに気づいた明が、ベランダから部屋に入ってきた。
運よく、ベランダに背中を向けていたあたしは、流れてしまっていた涙をすぐに拭うと、パッと笑顔を向けた。


「うん!気を遣ってくれてありがと」
「いやいや。マナーだし」


そんなふうに、いつも対応してくれることが嬉しかった。

バカップルと言われるほど仲が良くても、あたしたちの間には礼儀があって、必要以上に詮索しない。
きっとそんなところが、相手をしばりつけずに居心地良く感じたんだ。


「何かあった?」
「え?」
「なんか、ちょっと顔が曇ってるようにも見えるから」


だけど明は、あたしの無理やりな笑顔に気づいてしまったようだ。