《俺が明を裏切れても、夕菜が裏切れるとはかぎらない。
夕菜がどれだけ明のことを好きでいるか、痛いほど伝わってるから……。
だから今日……今日一日だけお前を待つ。
今日が終われば、もうきっぱりと忘れるから》
突然迫られた選択。
だけどきっと、それくらいしないといつまでも先に進めないのは事実だった。
いつかきっぱりと決めないと、ずっとどちらとも裏切ったままになる。
《もしも俺を選んでくれるなら、店に来てくれ》
「だ…めですっ……。あたしは行けない……」
あたしには、これ以上明を裏切るなんて出来ない。
城崎さんをあきらめるために、お店だって辞めたのに……。
《それでも待ってる》
「でもっ……」
《今日だけは待たせてくれ》
「……っ」
あたしはもう、これ以上何も言えなかった。
だって城崎さんの声が、あまりにも切なかったから……。
《じゃあな》
そして電話は、そのまま切られてしまった。

