プシューー




気が付くと
電車が止まり、見知った人々が乗り込んできた


そして、
電車が出発する直前に
リボンの彼女が銀色の箱の中に入ってきた




この前と同じく優先席に座る



まだ残っている謎がこれだ

今日も人はいるが
座席が空いていない訳ではない


純粋に疑問だった




気が付くと
彼女は本を手にしていた

この間の文庫本ではなく
ハードカバーの本だった



僕も本は読む方だが
彼女が手にしていた本は
見たことがなかった



どうやらかなりの
読書家らしい…




そんなことを思っていると
車内の体感速度が遅くなった…




プシューー




ドアが開くと同時に生ぬるい風が入ってくる



何となく駅の方を向き、
彼女の方に視線を戻すと
本から顔を上げていた





…何かを見てる?




彼女の視線の先は駅のホーム



最初は知り合いでも
見かけたのかと思ったが
何に安堵したのか、
少しほっとした顔をするとまた、本に視線を戻した…