─…トントントントン…─
沙希の階段を上がる足音が聞こえて、ハッと我に返る。
日記帳を閉じ、急いで元のように戻して扉を閉めた。
立ち上がってさりげなく棚から離れる。
すると床に小さなプリクラが一枚落ちていることに気付いた。
無意識のうちにそれをポケットの中に入れ、かわりに携帯を取り出す。
─ガチャ─
「おまたせ~♪ メールしてたの??」
「サンキュ!! お~★」
沙希が持ってきた麦茶を一口飲む。
はやくなった鼓動は、まだおさまっていなかった。
「沙希~...」
「何??」
「いや、やっぱ何でもない」
「え~?? 変なのッ」
そう言って沙希は笑った。
はあ~...何を言うつもりだったんだよ、俺...
なんとなく俺は早めに帰ることにした。

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