「えっ!?」


慌てて抱き抱え込むようにして真っ赤にする月。


「そんなに身構えなくても大丈夫だよ。」


「べつに身構えているわけじゃあ……。」


口を尖らせながらそっぽむいて答える。


「そんなにこれが見たいの?」


持っていた春画をヒラヒラとさせる沖田。


「どうせ見せくれないじゃないですか。」


「そうだね。見せないかわりに、何が描いてあるか教えてもいいよ?」


「え?」


沖田はぐいっと腕を引っ張り、月を自分の方へと引き寄せる。


「もちろん布団の中でね?」


小悪魔のように目を細めてニヤリと笑う。


「布団の中……?」


「もっと分かりやすくいうなら……、添い寝してあげようか?」


「!!」


そ、添い寝!?


顔から火が出そうになるぐらい真っ赤になりながら、沖田を突き放す。


「いえ!けっこうです!」


裏返った声で叫んでしまう。


「そう?残念だな~せっかく脱がせてあげられると思ったのに……。」


「な、なんてことを言うんですか!!もう、私部屋に戻ります!」


このままここ居ては、沖田にからかわれ続けるだけだ。


月はいたたまれず部屋へと戻って行った。






「はぁ………。」


春画が何かを確かめるだけだったったのに、とても疲れた気分になる。


部屋の障子を開けると一冊の本が布団の上に置いてあった。


それを手に取ってみると、沖田と永倉が持っていた春画であった。


なんでこんな所にあるのかと思い、沖田に問いただしに行こうかと思ったが、やはり気になってしまう。


沖田だけでなく永倉や原田、平助までが楽しそうに見ていたもの。


そして沖田がはぐらかし、からかわれた現況でもあるもの。


少しだけなら、見ても大丈夫だろう……。


月は部屋に人が来ないか入念に確認し、辺りを見回す。今なら誰もこない。


どんなものが描いてあるのか、ドキドキしながら表紙をめくる。


「!?」


すると目に飛び込んで来たのは、男女が裸で身を交わらせている破廉恥窮まりない画であった。


「一人で春画鑑賞だなんて、月ちゃんも隅におけないね~。」


「!」


唐突に背後から耳元で囁かれ、慌てて本閉じ振り返りと、小悪魔な顔の沖田がニコニコとしていた。


月はなんて返したらいいか分からず、必死に口をパクパクと動かす。


「さ、最低!!」