土方のはからいのおがげで、同室者が増えた。
こうして美月が新撰組に入り、女二人で小姓を勤めることになった。
月と美月はすぐに友達になり、一緒に小姓仕事や身の回りの雑用をこなしていた。
庭掃除をしていると、玄関の方から子供達の笑い声が聞こえてくる。
「何かしら?」
「きっと沖田さんです。よく子供達を屯所に招き入れて遊んでいるんですよ。」
「そうなの…?」
意外と言わんばかりに、玄関のほうを見る美月。町では壬生狼と呼ばれて恐れられている新撰組の人が、子供達と遊んでいるなんてかなり意外だったようだ。
月も新撰組で過ごすようになって、新撰組の皆のことを知るようになっていた。少し得した気分であった。
特に沖田は子供が大好きで、皆の目を盗んではこうして子供達を招き入れて、楽しそうに遊んでいるのだ。
新撰組の中でも気の激しい1番組を納める組長とは掛け離れた姿であった。
「少し行ってみましょうか?」
「え!い、いいわよ…!」
「大丈夫ですよ。今なら山南さんも一緒に遊んでると思いますし。」
「山南さんまで?」
これまた意外にも、山南も朝だけだが子供達に交じって遊んでいるのだ。今の時間なら沖田と一緒に子供達と遊んでいるはずだ。
「ええ、だから行きましょう!」
「うん。」
月と美月は子供達の元気な声に、誘われるように玄関へと向かった。
「おはようございます!山南さん。」
「ああ、おはようございます。月さん、美月さん。」
玄関に座り込んでいた山南に、軽く頭を下げる月と美月。
相変わらず爽快な笑みを浮かべていた。
「沖田さんは?」
「彼ならあそこです。」
前へと視線を向けると子供達に交じって、沖田が遊んでいた。
「山南さんは遊ばないのですか?」
「ええ、私は見ているほうが楽しんですよ。」
「遊べばもっと楽しいのに。」
美月はすっかり皆に溶け込み、今は誰とでも話せるようになっていた。
そこへ、子供を肩車したまま、爽やかな笑みを浮かべた沖田がやって来る。
「あれ?いつの間にか人数が増えてる!」
「あ……、おはようございます…。」
「おはようございます!ねぇ、来たなら月ちゃんも一緒に遊ぼうよ。ついでに黒崎さんも。」
「………!」

