元気よく返事をする月。これで新撰組の仲間入りだ。


そこへすかさず沖田が割り込んできた。


「土方さん くれぐれも月ちゃんに変なことを吹き込まないで下さいよ?」


「お前だけは言われたくねぇよ!」


「しかし、女性の存在があるとなると、少し彼女の処遇を考えないといけませんね。」


「どういうことだ。山南君?」


「これからは組織も大きくなり、彼女にしか出来ない隠密行動も出てくるでしょう。そのために、女性らしい教育も必要だということです。」


組織にいる以上は、月もそれに参加しなければならない。敵を欺くためにもそれは必要不可欠だということだ。


「でも、俺は今のままで充分に綺麗だと思うけどな……。」


月の姿をまじまじと見ながら、不満そうに言う平助。


「そうだ!振袖とか着せてみたらどうだ 近藤さん?」


「振袖……?」


「ああ!絶対似合うと思う!さすが佐之さん!なあ、月。着せて見せてくれよ!」


「それなら、何が足りないか分かりやすいからな…!」


「ちょっと待てお前ら!唐突過ぎるだれうが!まずは、本人に聞いてからだ!!」


上がり過ぎていたものを沈める土方。皆の視線が月に集まる。


「えっと……、すぐには無理ですが、皆さんのお役に立てるなら、その教育を受けてみたいです。」


「でも月ちゃんは元々、花街出身でしょう?女性の教育なんていまさら受けることもないんじゃない?」


酒を飲みながら沖田がぼやく。


「そうなのか……?」


「まあ……そうですが、でもけっこう前のことなので、習えるなら習いたいです。」


女らしい女性教育など、もうかなり前のことだ。今一度改めて習うのもいいかもしれない。


「学ぶというのは良いことだ!どうだ トシ。改めてもう一人女性の小姓を増やしてみてはどうだ?」


「でもな~、歳はがいってる女は俺達を嫌ってるからな…。」


「なら同年代くらいの娘を連れてくればいいんじゃないですか?それなりの教養は持ってるでしょう。」


頭を悩ます土方にすかさず提案を出す沖田。チラリと月の方を見る。


「それもそうだな。募集をかけてみるか!」


副長と局長の許可がおり、一勢に騒ぎ出す永倉達。


また増えるだろう者への前祝いと言わんばかりに再び飲みはじめる。


「よかったね 月ちゃん。」


沖田が優しく月の肩を寄せる。それでようやく気づく。