涙をウルウルさせながら、近藤が嬉しそうに言う。あの時は力がなく会津の言うこと聞くしかなかったが、今や新撰組もそれなりの力を持つようになっていた。
これからは容保の元でより強い力を持つことになるだろう。新撰組の未来が照らし出された時であった。
「近藤さん あんた泣き過ぎだろ?そんなんじゃあせっかくの宴会が台なしだぜ?」
横にいた土方が言う。彼も新撰組を押し上げるために、かなりの労力を使っていた。
「そうだな、悪い!」
鼻水をすすり笑顔でニカッと笑う近藤。
「そういえば、月も一君から剣を習いだしたんだろ?」
思い出したように平助が言う。
「そうなのか?」
「そうそ、だからさこの際、月にも役割を当ててやってもいいんじゃないか?」
と皆の前で提案を出す。皆もそれもそうだと言わんばかりに、月に似合う役割を考え始める。
「それなら……小姓とかいいんじゃないか?」
「小姓…?」
「それなら、隊士ってわけでもないし、皆と一緒にいられる、ピッタリだと思うけどな?」
小姓といえば、主の身の回りの世話をする立場のこと。女の月にはもってこいの役割であった。
「まあ、お前を戦場で人を斬らせるわけにはいかないからな。」
月を見て答える土方。これには皆も賛成であった。
「ならトシの小姓がいいんじゃないか?」
「え……?」
「まあ、それしかないだろうな…。」
とアッサリと承諾してしまう土方。まさか、土方の小姓につくことになるては、とんとん拍子も行きすぎて、月は呆然としていた。
「うわっ!ずっりーよ土方さんだけ!!俺も小姓が欲しい!!」
「平助の小姓なんてしてたら、小姓じゃなくてお守りになるだろ?」
「そうだな!平助には小姓なんて百年早えよ!」
わしゃわしゃと平助の頭を撫でる永倉。組長といえど、この関係は全然変わっていない。
「オッサンは黙ってろよ!!」
噛み付くたびに永倉達の玩具にされてしまう平助。周りの皆はそれを楽しそうに見ていた。
「なら、土方君の小姓で決定……、ということでいいですか 月さん?」
「確認なんて取る必要ねぇよ 山南さん。こいつは否定する奴なんかじゃねぇからな。」
重役の三人がまっすぐと月を見つめていた。三人共笑っており、月の返事を待っている。
「はい!よろしくお願いします!」

