正直、今一人にしてもらって正確だと思う。


今頃、沖田達は違う場所の遊女で、楽しくやっているのだろう。


『いくらでも抱きたい女はいる。』


と、今朝強引に部屋に連れ込まれた時にそう言われたのを思い出す。


いくら誤解をされているからといって、あんなやり方はまずかったと、後悔はするも、沖田のあの言葉には正直、胸をえぐられる思いをした。


今でも傷口がジクジクと痛む。


沖田は永倉や原田達とは違い、女を買ったり女遊びをする性質ではない。


皆で連れだって遊郭へ行く時も、決まって月を隣に置いていたし、皆が酒や遊女を囲っていても、沖田はそれに手を出すことなく、少し酒を飲むくらいで、皆が沈没するのを待つかのように、月の遊び相手をしてくれていた。


だから、自然とそれが当たり前だと思い込んでいたのだ。


奢りかもしれないが、誤解をされる以前から薄々沖田が自分を気にしている、とは分かっていた。


しかし、誤解をされたり喧嘩したり、色々なことをしているうちに、恋とは掛け離れている存在だと気づき、それについては触れないようにしてきた。


まるでそれまでの関係をリセットするように接して来たが、やはり何処かで求めていたものがあった。


沖田は変わらずに冗談を言って、月をからかったりしていじめてくるし、子供のような嫌がらせもしてくる。


でもそんなことをしながらも、いつも優しかった。


会津藩邸にいた時には見られなかったような表情や言動をしてくる度に、困ったり、驚いたり、笑ったり、たくさんのことをして、月と一緒に生活を送ってくれた。


いつだったか、美月が来たのも沖田のおかげだったと思う。


今考えて見れば、本当に長い付き合いだ。それだけたくさんのものを、沖田からもらったということだ。


口づけの時のことを思えば、あれが沖田の本音だったのだと思う。今まで相当我慢して来たのだろう。


だから……あんなふうに言ったのだ。


でも月はそれを受け止めるどころか、はねつけてしまったのだ。


沖田が愛想を尽かして、他の女に走っても文句は言えない。


元々沖田は月のものではないのだから。


だから、自身に言うなのだとしたら、『自業自得』。


ただそれだけ………。


暗闇に染まる提灯を眺めながら、そう考えていた。


「邪魔するぞ。」


すっと襖が開き斎藤が入って来る。


「どうでしたか?」