少し友情が深まった帰り道、私は誰かに呼ばれたような気がして立ち止まった。 「咲月?」 急に周囲を見回し出した私に、胡桃がどうしたの、と尋ねてきた。 「…………ううん。なんでもない」 知り合いがいそうな気配もなかったので、きっと空耳だったのだろう、と結論付け、気にしないことにした。