「祐樹が…どうして…ここに」


「今日学校こなかったろ?サボったのかとも思ったけど…今日数学の小テストあったし。お前が休むとは思わなくてさ、学校早退してお前の家行ったんだよ」


「…祐樹」


「と、とりあえずその服装なんとかしてくれ。目のやり場に困るから!」


「あ、ごめん」



私は震えた手で乱れた制服を着直した。


「とりあえず…見られてるしお前の家まで送ってくよ」



駅の近くにいる人たちが私たちを好奇な目で見てくる。
きっと私が座り込んでいるからだと思う。



「うん」


祐樹の手を借りて立ち上がり、歩き出した。



私の歩くペースは自分から見ても遅かった。
でも、祐樹はちゃんとそのペースに合わせてくれる。


「…今日の授業のノート。仲村に頼んどいたからお前の分」


「え?」


「まぁ前半は俺がノートとっといてやったからさ。心配すんな」


「祐樹…」


「お前が今日何してたのかとか聞かないし。あ、でも話したくなったらいつでも聞く」



ぽろぽろと
私の目から流れる涙。


祐樹は慌ててポケットティッシュを出してきてくれた。


その小さな優しさも
私の心に染みていった。