「あたしもキヨっちのお気に入りにして?♪」


「アホか!」


「1人2人お気に入り増えたっていいじゃん!」


「あーもう!うっとおしい!俺はお前みたいなねばっこい生徒は苦手だっつーの」


「んもぉーキヨっちのいじわるぅ」




ようやく先生の腕から離れたところを見た時
なぜか私はほっとした。




「お前らさっさと家帰れよ?」


皆バラバラな返事をしてまた会話をし始めた。



先生と私はまた駅に向かって歩き出す。


でもその間に会話はなかった。





沈黙を破ったのは先生。



「まりあちゃん。さっきはごめんなー」


「えっ?別に私は…」


「いやーあんな感じに絡まれるの苦手っしょ」


「苦手というか…。まぁ、はい」


「とにかく!俺はまりあちゃんがお気に入りなわけで!」


「あ、ありがとうございます」


「他の生徒とは違うから」





急に先生の声のトーンが変わった。


「へ?」


「まぁ、それだけ言いたかっただけだよ」



私は急に恥ずかしくなってうつむきながら歩いた。

自分でもよく分からない恥ずかしさにとまどいを感じながら。