私が見る先には、新郎の後ろ姿。



どんどんと近づく距離。





「嘘…」


私は気づいてしまった。



そこにいたのは祐樹ではなく…。




「なん…で?」




私は少し涙目になりながら、周りを見渡した。


誰一人、新郎の姿を見ても驚かない。




「茉莉亜」


そしてその人ごみの中に、本来その場所に立っているはずの祐樹がいた。



「俺、このまま茉莉亜と結婚したいって思ってたけどさ。ずるいよなそんなの。いない間に横から奪い取るっていうの」


「何…?どういうことなの?」


「まだ、もらったピアスしてるだろ?」


私は右耳にそっと触れる。

…大好きなあの人にもらったピアス。


どうしてもはずすことができなかった。