美紀の家に近づくたびに私の心臓は破裂しそうだった。
会ってまず何を話すのかなんて決めてないし、
こんなこと初めてだからどうしていいのかも分からない。
だけど、
先生はそんな私の背中を押してくれたんだから。
先生のためにも…一歩前に踏み出さなきゃいけない。
車に乗って2時間ほど。
美紀の家についたのは午後3時すぎだった。
「…美紀の家に来たの初めて」
「ほーんとまりあちゃんの家に近いな」
「歩いて15分くらいですね」
思えば
美紀が私の家に来たことはあっても、私が美紀の家に行ったことはなかった。
『今度遊びに行くね』って美紀に言ったことはあったけど
まさかこんな形で美紀の家に来ちゃうなんて…。
「車置くとこねぇなぁ…」
「レンタカー借りた場所って結構私の家の近くでしたよね」
「確かにそうだな。ささっと返してくるわ。すぐ戻ってくるから」
「はい!」
私は助手席のドアを開け、車から降りた。
「俺がいない間に…無理とかすんなよ」
私が降りた姿を見届けた後、
先生はそう言って車を発進させ走り去っていった。

