あたしはケータイを受け取ってメールの内容に目を走らせた。



“8月XX日、約束の日覚えてる?


いい加減返事を聞かせて。急いでよ、こっちも予定があるんだから”



内容を見てあたしは目を開いた。




約束の日―――……




何があるって言うんだ…


「でもこの日は日曜日で鴇田の事務所も休みだよな?」


戒が聞いてきてあたしは頷いた。





「この文面から見て―――…


相手は





女?」




「男かもしれねぇけど……ちょっと待った。響輔から相手先を特定したメールが続いてる。


いくつかのサーバーを経由したみてぇだな、特定に時間が掛かったか…


何なに?発信元は千葉県の…




伊予原 椿紀(イヨハラ ツバキ)?」



「ツバキってからに女じゃね?」


あたしが聞くと、


「そいやぁアイツ女友達が居るみてぇなこと言ってたな」戒は目を細めて、響輔から送られてきた文面を下へスクロール。


ディオールの新作グロスを見抜いたタイガ。ツレの女が詳しいとか言ってたな。


戒はスクロールするその手を途中で止めてパチンと指を弾いた。


「ビンゴ!伊予原 椿紀は千葉県内の出版社の勤めだ。


女性誌編集部の編集長だ」






女性誌の編集長―――……


確かにタイガは女性誌の編集長のツレが居るって言ってたけど…



でも何でタイガがこんな女と……?